猥雑を嫌わず
中世世界を代表する、東西の二大聖地として、
熊野と善光寺がある。
両者、最大の共通点は、
僧俗・貴賎上下・男女・浄不浄の別なく、
参詣者を受け入れたことだ。
また、御師、聖という、諸国を廻って、
布教、参詣を薦め、先達を務めた人々の活躍もある。
そんなわけで、ともに、教派・宗派を超えた救済の聖地となって、
巡礼者を集め、大変な賑わいをみせていく。
中世も中頃を過ぎると、聖なるものの権威が墜ち、
穢れを強く忌避する、差別の思想が頭を擡げてくる。
たとえば、「熊野の神は男女猥雑を嫌わず」なので、
神位の低い、権現なのだと云う説や、
蔑まれることが常であった、一遍をはじめとする、
遍歴する時衆が善光寺に、
参集していたことなど、からである。
しかし、そのような誹謗や差別にもかかわらず、
今日に至るまで、民衆のための救済の聖地であり続けた。
このような歴史から、「来る者拒まず」の善光寺であるのに、
今回の聖火リレーをめぐる騒ぎで、
苦渋の判断を迫られたは気の毒だった。
ここは、主催者=権力者のほうから、辞退するのが、
筋ではなかったか、と思うのだが…
(写真 Caplio GX100)
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