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2008年6月26日 (木)

扇を持つ人々

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1991年の「大河ドラマ・太平記」は、放送当時、

中世史に関心を持つ人々の間で、かな話題になった。

あえて、難しい時代を正面から扱い、

しかも、最新の中世史研究の成果を映像化したからである。

それは、装束、風俗、所作、セットなどの、

細かな部分までに及んでいるもので、

知っている人が見ると、「おお!」という場面もあった。

その中で、筆者が「おお!」と思ったのが、

主人公の足利尊氏が、都ではじめて、

後醍醐天皇や側近の僧文観たちと出会うシーンだった。

何者か判らぬ闖入者である、若き尊氏と出くわして、

彼らは、一斉に扇を広げて顔を隠し、

扇の骨の間から尊氏を窺がう「しぐさ」をみせる。

中世の絵巻物によく登場する「しぐさ」を、

はじめて、映像化して見せたのだ。

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この「しぐさ」は、中世の人々とって、

やはり、特別な意味があったようだ。

上の写真は、今まさに罪人に刑が、

執行されようとするところを、見物する人々。

下の写真は、都の繁華な大路で何か、

騒ぎがあって、それを窺がう男。

どうも、思いがけず「異常な状況」に、

遭遇した時、それを直接、「見ない」ように、

あるいは「見られない」ように、扇の霊力の助けをかりて、

とりあえず、避けるという「しぐさ」なのではないかと、

考えられているのだ。

当時、「大河・太平記」の製作者の中に、

宮本常一氏編共著の「絵巻物による日本常民生活絵引 1965」や、

歴史家・網野善彦氏の著作を熟読している人がいると、

噂されていたが、

今でも、筆者はうなずける話だと思っている。

(写真 Caplio GX100)

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