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2008年7月22日 (火)

100年前の映像史料を読み解く

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この連休の午後は、ある番組を見るために空けることにした。

BS世界のドキュメンタリー

「奇跡の映像 よみがえる100年前の世界」

(全9回 イギリス BBC制作 2007)

今年1月に一度放送されたようだが、見逃していた。

土日月で、9時間の放送だけど、実に興味深く視聴。

フランス・アルザス出身、ユダヤ系の銀行家にして大富豪の、

アルベール・カーン(1860~1940)が、私財を投じて撮影させた、

20世紀初頭の世界各地の写真(72000枚)と、

ムービー(100時間)の記録である。

カーンは時に自ら、あるいは多くのカメラマンを雇い、

1908年から1930年にかけて、

世界の五大陸に派遣して映像を収集、

これを「地球映像資料館」として保存する、

プロジェクトを推進した。

カーンは、急速に進展する近代化の中で、

全世界で失われつつある、人々の伝統的な生活や風習、

少数民族の文化などを重点的に撮影させる。

当時の最新技術「オートクロム」による、

カラー写真も積極的に活用した。

番組では、現代の歴史家、民俗学者たちが、

これらの映像史料を時代を追って、丹念に読み解いていく。

これがまた面白く、まったく飽きさせない。

わずか100年前といっても、歴史学では、

もうすでに解からないことのほうが多い。

映像は、その謎を次々と解き明かしていくので、

歴史家たちも、いささか興奮気味で、大絶賛なのだ。

大プロジェクトを進めたカーンだが、世界恐慌で破産。

1940年、ナチズムのパリ占領下に死去する。

幸いにして、ナチは残された膨大な映像遺産には、

興味を示さなかったので、今に伝えられることとなった。

戦後、公共資産となったパリ西郊・ブローニュにある、

カーンの広大な自邸と庭園、映像史料は整備され、

アルベール・カーン美術館として公開されている。

かつて映像は、

レンズに結像するところのすべての事象を記録し、

撮影者も、そのことに全力を傾注した。

後の世の、私たちも、

その映像史料を読み解く術を尽くさねば、

かけがえの無い遺産は生かされない。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PR400)

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