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2008年10月11日 (土)

「夜刀の神」

B08101001

谷戸に関する文献は少ないが、

その中でも、以前から欲しいと思っていた名著、

「関東地名物語 谷(ヤ)谷戸(ヤト)谷津(ヤツ)谷地(ヤチ)

 の研究」(山田秀三著 1998年再版・草風社 @¥2000)

をAmazonにて購入。

副題にあるように、

谷戸を意味する言葉は、地域によって様々なのだが、

基本的に東言葉であるというのが、著者の見解だ。

しかも、奈良時代の「常陸国風土記」が初出だとする、

谷戸の語源説が面白い。それによると、

……継体天皇の世に箭括麻多智(やはずのまたち)という人が、

   行方郡の西の谷の葦原を開墾して、水田を作ったが、

   夜になると「夜刀の神」(ヤトノカミ)が群集して邪魔をした。

   「夜刀の神」とは蛇のことである……

そこから、「夜刀」(ヤト)とは、もともと、

葦の生える、蛇のいるような、

低湿地を呼ぶ言葉だったのではというのだ。

確かに、水源地である谷戸はジメジメとしている。

筆者少年期の体験を、そのままなぞれば…

春先の谷戸は、あらゆる水溜りが蛙の卵でいっぱいだ。

それが、おびただしい数のオタマジャクシになって、

夏前には、いっせいに蛙になる。

その頃になると、谷戸にやぶ蚊が大発生し、

(谷戸は、人にとっては、

 けっして住みやすい環境でないことがわかるだろう)

蛙は餌に困らない。

その蛙の天国を狙って、今度は蛇が集るのだ。

アオダイショウ、ヤマカガシ、マムシ…

やたらと蛇が多かった。

低湿地→夜刀の神→蛇→谷戸を密接に関連づける、

この語源説に惹きつけられるわけである。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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