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2009年1月の記事

2009年1月30日 (金)

中世女性の首(1)

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今日の朝日東京面に、

中世城郭・葛西城跡(葛飾区青戸7丁目)から出土した、

戦国期の若い女性の頭骨と復顔像が一般公開されるとあった。

(3月28日より 葛飾区郷土と天文の博物館にて)

この頭骨の存在は知っていたが、今まで見る機会がなかった。

斬首されて、堀に投げ捨てられたものと推測され、

骨の状況から、庶民のものではないようだ。

いろいろなことが考えられるが、

城正面、本丸北側の堀から、良い状態で見つかったというから、

何らかの「呪術的」な意味もあったかもしれない。

いずれにせよ、この「中世女性」に会ってみたい。

(写真 GX200)

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2009年1月29日 (木)

BBCの歴史ドキュメンタリー

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年末にTVを新調してから、

いけないとは思いつつも、あれこれといろいろな番組を視てしまう。

BS朝日の「地球伝説」(イギリスBBC製作 2005)

このところ、初期キリスト教をめぐるシリーズをやっている。

絵画や彫刻に表されたキリストのイメージを、

歴史的に読み解くところから始まり、

実際のキリストの生涯、奇跡や復活の謎に迫る、

意欲的な「歴史ドキュメンタリー」だ。

視点はあくまでも学術的で、

宗教的に偏った内容にはなっていない。

最新の研究成果が生かされ、考古学、歴史学のみならず、

心理学、社会学、宗教学から人気マジシャンまで、

各界の専門家が出演、コメントしている。

しかも、ふんだんに使われる再現ドラマの出来が半端じゃない。

伝統のBBCならではなのか。

「受信料」の払い甲斐もあるだろう。

日本じゃまだ、とてもとても足下にも…

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月28日 (水)

謎解き 洛中洛外図

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この前の「大河」では、かなり手が込んだプロットで、

「上杉本・洛中洛外図屏風」が使われ、興味深かった。

(当ブログでも、2008 5/25 投稿 「永徳」等々、

 度々触れているので参照のこと)

やはり信長の、謙信への贈物として登場するのだけど、

従来から、この絵で論争になっている、

室町将軍御所に向かう貴人の行列の部分が、

(謙信を描いたものではないかと言われている)

劇中では、信長が謙信への「当てつけ」で、

描かせたことになっていた。

ストーリーのほうは、かなり無理がある展開なのは否めない。

このあたりの「仮説」としては、今のところ、

黒田日出男氏の好著「謎解き洛中洛外図」(岩波新書 1996)

の右に出るものはないと思うので、一読をお奨めする次第。

現在品切れ中だが、出版元では3月に再版予定という。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月27日 (火)

竹橋にて

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日曜の朝、ジョギングする人々の間をすり抜け、

竹橋、国立近代美術館へ。

「高梨豊写真展 光のフィールドノート」(3/8迄)を観る。

1960年から2008年、

50年に及ぼうとする高梨氏の作品群の軌跡を展示。

さすがに見ごたえがある。

都市を歩きながら向ける撮影者の眼差しは不変であり、

単に、移り変わる面白可笑しい都市の表層の先の、

「本質」を見極めようとしているのが伝わってくる。

それは最新作の“silver passin”でも健在だ。

しかも、路線バスの座席からの、やや高さのある独特な視座。

筆者も、この頃よく路線バスを利用するから、

これに魅かれるに、共感するものがある。

氏は、現代都市写真の「元祖」的存在と目されているけど、

やはり鑑賞者が、安易にインスパイアされるのは戒めたい。

今になって、この写真展を観て、

「ライカにワイドを着けて街へ飛び出したくなった」というんじゃね。

「もっと、自分の目で回りのものをよく見なさいよ」と、

作品がメッセージを送っているのを受け止めなきゃ。

(写真 GX200)

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2009年1月26日 (月)

「待て暫し」

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週末は思いもかけず、TV番組に引きずられた。

土曜の深夜は、BSで、

「ヒトラー ~最期の12日間~ 」を視てしまったので、

睡眠不足になる。

この映画には若干のコメントがあるが、稿を改める。

今日の午後も、教育で能「西行桜」をやっていたので、

こっちも視てしまう。

「西行桜」については、2008 3/24 投稿 「桜の咎」参照。

翁の姿をした老桜の精が用いる「石王尉」の面はいかにも、

一言文句がありそうだが、実は人がいい爺さんという感じを、

掴んでいるなと感心しつつ、時間を忘れる。

「草木国土皆仏性あり」とかいうくだりでは、

中世世界観の真髄に触れたような想い。

世阿弥作というが、禅竹的な要素もあるか。

最期の見せ場、翁が夜明けとともに消え去っていくところで、

「待て暫し待て暫し」

「夜はまだ深きぞ」

「夢は覚めにけり夢は覚めにけり」

この言葉の含蓄の深さが残る。

実はこの週末、

銀座の“Ring Cube”で「DIGITAL 銀座 森山大道写真展」と、

国立近代美術館の「高梨豊写真展 光のフィールドノート」を、

観ているのだが、これも稿を改めるしかない。

ご容赦。

P.S.

さっき「大河」を視たら「上杉本洛中洛外図」のプロットを使っていた。

こっちのほうも、コメントせねば…

(写真 GX200)

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2009年1月25日 (日)

「愛」の意味とは?

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そろそろ、今年の「大河ドラマ」で目についてきたことを書いてみる。

番組サイトの企画意図に、

…謙信を師と仰ぎ、兜に「愛」の文字を掲げた兼続は、

 その生涯を通じて民・義・故郷への愛を貫きました。

 「利」を求める戦国時代において、「愛」を信じた兼続の生き様は、

 弱者を切り捨て、利益追求に邁進する現代人に、

 鮮烈な印象を与えます。

 ドラマは失われつつある「日本人の愛と義」を描き出します!…

とあった。

思い込みもここまでくると、滑稽というより害がある。

直江兼続の「愛」の兜は有名だが、

もとより、それは現代の「愛」の意味ではあり得ない。

今のところ、最も有力なのは、

「愛染明王」か「愛宕権現」を意味する「愛」だろう。

特に後者の場合、中世の神仏習合説によると、

「愛宕権現」の本地仏は「将軍地蔵」=「地蔵菩薩」とされる。

「愛宕権現」=「将軍地蔵」(勝軍地蔵)は、

勝利・開運・延命の「軍神」として、武士たちに広く信仰されていた。

問題の兜をよく観察すると、

「愛」の字の前立ては雲形の台座の上に載っている。

この雲形は、地蔵菩薩来迎図によく見られる、

地蔵が乗っている雲とそっくりだ。

中世後期、戦国時代は武具や軍旗に、

神仏の姿や神号、経文、梵字をあしらうことが流行した。

もちろん、戦場での勝利と加護を願うためだが、

万が一「討ち死に」した場合の往生の用意もあったかもしれない。

上記の企画意図で、一つだけあり得るかなと思うのは、

兼続の前代の主君である謙信の影響である。

謙信はこの時代でも、際立って信仰心の強い人だった。

確かに、現存する彼の着用した甲冑には、

神仏をあしらったものが異常に多いのだ。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月24日 (土)

タテ位置大好き

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今月のアサカメの記事、

「タテ写真とヨコ写真の思想」を読む。

最近はタテ位置で撮る人がめっきり減ったのだそうだ。

特に若い世代の、自分の好きなものしか撮らないという、

撮影姿勢が影響しているらしい。

タテ位置写真は、撮影者の明確な意図と主観、

溢れる表現願望の現われだとするのは、まったく同感だ。

写真に限らず、この世のあらゆる表現活動は、

本来、表現者の主体主観そのものであるのだから。

道理で、この頃の写真表現者に、

著しいパワー不足を感じるわけだ。

筆者は言うまでもなく、タテ位置大好きである。

どうしてこうなったのだろうかと、今思うに、

少年時代、カメラのファインダーをしきりにのぞいて、

迷っている筆者を見かねて、

傍らにいた父親が「カメラをタテに構えてみろ」と、

声をかけた時の記憶に突き当たる。

カメラをタテに構えると、

今までと、まったく違った世界が広がったのが鮮やかだった。

その時から、タテ位置が身についてしまったのだと思う。

父親に感謝するばかりだ。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 NPR400)

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2009年1月23日 (金)

執務開始

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オバマ大統領の執務第一日目を伝えるナイトライン。

キャスターと記者が、ホワイトハウスが配信した、

朝の光の中で、まさに執務室に入ろうとする、

オバマ大統領を撮らえた写真が良かったと、

語り合っていた。

一枚の写真を巡って、こんな風に論じ合えるなんて、

つくづく、いいなと思う。

ここ東京でも、この写真が配信されているかと、

朝日の夕刊を開いたら、同じくホワイトハウス配信の、

オバマ大統領が執務室のデスクで、

上着を脱ぎ電話をしている写真を掲載していた。

悪くはないけど、選ぶ写真が粋でない。

朝日の写真のセンスは、昔からそうだけど、

やっぱり、イマイチだな。

ナイトラインのサイトにて動画で見ることが出来る。

21 Wednesdayの、

“Obama's First day” または “Day One” の画像をクリック。

http://abcnews.go.com/nightline

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月22日 (木)

50万人

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オバマ大統領の就任演説を視る。

ワシントンに集ったのは200万人…

会場の群集を伝えるTV画面には、

少なくとも50万人は映っているという。

歴史的な映像となるだろう。

演説の内容は、厳しい現実を極めて率直に述べ、

しかも、しっかりとした歴史的視点を踏まえていた。

自由と平等というが、

決して平坦では無かったのが、アメリカ建国の歴史だ。

彼は、並の歴史感覚の持ち主でないことがわかる。

近頃では、残る演説になるだろう。

ABCナイトラインのほうも視る。

普段はちょっと地味目な女性キャスターが、

祝賀パーティーの会場からドレス姿でリポートしていた。

「歴史の目撃者になった」と語る彼女の笑顔に、

今のアメリカ人の気持ちを実感する。

例によって、番組のスティール写真を効果的に使った、

「今日一日」の映像が印象的だった。

(写真 GX200)

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2009年1月19日 (月)

美味い水と食べ物

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昨日の蕎麦食いには、少し趣向があった。

蕎麦屋を「はしご」して、食べ比べを試みたのだ。

その趣旨は、どっちがどうこうではなくて、

あくまでも、両者の違いを楽しむこと。

そんなわけで、二軒目の「もり」の写真もアップする。

ここでは、上がりに蕎麦団子と甘酒をたのんでいるので、

お腹はかなり一杯に。

国分寺崖線に沿った樹林にある、深大寺境内では、

古くからの湧水群が見られる。

美味い水があれば、食べ物が美味くなるのも道理である。

(写真 GX200)

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2009年1月18日 (日)

蕎麦を食べに深大寺へ

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蕎麦を食べに深大寺へ。

春いまだ遠しと言うけれど、確実に足音は聞こえる。

水は温み、梅はほころぶ。

久しぶりに休日らしい一日。

暫し休息。

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(写真 GX200)

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2009年1月17日 (土)

「死を覚えよ」

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昨日投稿のアンケート調査のこと。

大事な続きがあったので触れておく。

調査項目に「死後の世界を信じるか」というのがあった。

「信じる」とするのが、一般人の34.6%に対して、

がん患者は20.9%と、かなり低い。

実際に死を見、それと正面から向かい合い、

より深く考えていけば、

こうなっていくのは、判るような気がする。

健康な人であっても、日々の生活の中で、

何時も頭のどこかに置いておかねばならない問題だろう。

「汝の死を覚えよ」

中世ヨーロッパの修道院内で、日々交わされた挨拶の言葉。

(写真 GX200)

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2009年1月16日 (金)

戦うべきなのか

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昨日のニュースに、

がん患者と医師、看護師を対象にした、

あるアンケート結果を報じたものがあった。

望ましい死を迎えるためには、がん患者の81%は、

「最期まで病気と戦うこと」と回答したが、

医師は19%、看護師も30%にとどまったという。

医療側と患者側の意識の大きなギャップが浮き彫りになる。

Yさんのことを思い出す。

4年前、父親の入院付き添いで、ほぼ1年病院に通っていた頃、

1ヶ月前に緊急入院して、

すでに末期と判っていたYさんと知り合った。

病気のことは、一切話題にしなかったけど、

筆者は、デジカメの撮影と日記をPCに綴ることを勧めた。

彼は全ての治療を中止して、鎮痛剤の投与のみと決め、

最期の日々を写真と日記に残した。

本当は、3ヶ月以内と宣告されていたのに、

6ヶ月以上も伸び、安らかな最期を迎えられたこと。

そして、写真と日記が入ったPCが「宝物」のようになったこと。

後で、ご家族から思いもかけず感謝されて、そのことを知った。

でも、このような経験はYさんだけだ。

他の筆者の知人は、病気が判ると皆、

「最期まで戦うと宣言」して、敢えて辛い治療を選び、

宣告通りの時間で、否、もっと短い時間で力尽きた。

今でも、どっちがいいと簡単に言うことは出来ない。

本人より、まわりにいる者の方が、

冷静にものが見えてしまうのは、辛いが真実に近いと思う。

医療側と患者側の「対話」がもっと、もっと必要なのは確かだ。

(写真 GX200)

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2009年1月15日 (木)

帆立とエビのバジルソースパスタ

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帆立とエビのバジルソースパスタをつくる。

…ボイルした帆立とむきエビ、それぞれ1パックを、

 オリーブオイル少々でソテーし、辛口白ワインカップ1.5を加え、

 アルコール分を飛ばす。

…市販のバジルペースト、またはジェノベーゼソースを、

 大スプーン2~3加える。

 (ペーストには塩味がついているので、殆ど味付けは要らない)

…パスタを茹でる鍋で、じゃが芋と季節野菜を軽く下茹でしておく。

 (今日はキャベツを使ったが、ブロッコリー、インゲンなど適宜で)

…ソースに野菜を加え馴染んだところに、

 茹でたてのパスタをあえて出来上がり。

(写真 GX200)

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2009年1月14日 (水)

直感力

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アメリカ大企業のトップの間で、かなりの報酬を払って、

「占い師」のご託宣を頼むことが流行っているらしい。

ABCナイトラインで、そんな大不況の話題を視た。

もっとも、「占い師」と言っているのは番組側で、

彼らは「直感力診断士」を自称している。

データーに基づかない、もっぱら直観力に頼る、

景気判断だからという開き直りぶりなのだ。

でも、よくよく考えてみれば、

経済学者が精密なデーターを駆使してやっているはずの、

景気判断があの有様で、

結果的に、どこがどう違うのかと問われると、

答えに窮するものがある。

前にも触れた通り、

(2008 12/18 投稿 神仏の領域 参照)

中世世界同様、経済や景気は未だ「神仏の領域」にあることを、

露呈してしまっているわけだ。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月13日 (火)

奔流のように

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行きつけのヘアサロンのG君が今月限りで辞める。

渋谷のこの店で5年働いたが、この街に馴染むことはなかった。

「ここは、奔流のように流れている街。

 新しいものを見たいだけならいいけど、

 流される一方で、

 流れの行き着く方向は決して見えないから…」

そんなことを言っていた。

彼は数ヶ月、タイに行って自分の行き先を見つめ直し、

再出発をするという。

「後から見て、あの時っていうことありますか」

と聞くので、笑って、

「やれる時に、やれることをやるだけ。答えは多分、最期にね」

とだけ。

夕刻、大手旅行代理店の前を通ったら、

カウンターが若い女性だけで満杯になっていた。

この極端なねじれ現象に嘆息。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PBNC400)

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2009年1月12日 (月)

「苔とあるく」の著者と会う

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雑司が谷駅から程近く、南池袋で開催の古本市、

「古書往来座・外市」(主催古書往来座 協賛わめぞ)へ。

ちょうど、岡山・倉敷から出店中の「蟲文庫」店主にて、

「苔とあるく」の著者、田中美穂氏と会うことが出来た。

(2008 6/19投稿 足下から始める知的活動 参照)

さっそく、持参した著書に署名を頂く。

感謝に耐えず。

著者から直接、その著書に署名を頂くことは、

筆者の密かな愉しみの一つである。

この際、同文庫で何かと思っていたので、

「東京日記」 (内田百間著・変換不可 1992 岩波文庫)

「旅芸人のフォークロア」 (川元祥一著 1998 農文協)

の二冊を購入。加えて、

蟲文庫特製「蟲バック」も入手。

帰りに鬼子母神境内を抜け、

「おせんだんご」(根岸・芋坂 羽二重団子謹製)をもとめる。

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(写真 GX200)

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2009年1月11日 (日)

都写美にて

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天候回復するも、北風強し。

恵比寿の東京都写真美術館(都写美)へ、

「甦る中山岩太 モダニズムの光と影」

「ランドスケープ 柴田敏雄展」(ともに2/8まで)

を観に行く。

前者は、11/9投稿「美しき1930年代」でも触れたとおり、

中山の活動した30年代、すでに現代で試みられている、

ヴィジュアルアートの表現方法の殆どが実験済みであったことを、

あらためて教えてくれる。

現代の表現者より、圧倒的にパワーに溢れているのは論を待たぬ。

後者は、風景への視点、眼差しの面白さの極致を堪能。

都市や自然のみならず、この世界から、

森羅万象の形、色彩の織り成す妙を見出す力は、

「天性」に近く、おいそれと真似できるものではないし、

また、真似をしてもいけない。

こう書くのは、この写真展を観て安易にインスパイアされる、

陳腐さを戒めるためでもある。

写真表現では、とかく形の妙をモノクロで、

という方向になりがちだが、この撮影者はその過程で、

色彩の妙を捨てなかったのは、

極めて「正統的」な絵画表現に通じるものがある。

異論もあろうが、筆者は色彩感覚=色感のほうに、

より「天性のもの」を感じてしまうので、

この表現の方向性を支持してしまうのだ。

いずれにせよ、この二つの写真展から得るものは多く、

特に「大判写真」による表現を志す人は必見だろう。

(写真 GX200)

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2009年1月10日 (土)

黒衣の騎士

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「キングダム・オブ・ヘヴン」の主な登場人物の殆んどが、

実在、あるいはそれをもとに造型した人物像である。

その中で、唯一例外なのは、

主人公の若き騎士「バリアン」の傍にいて、

彼に助言し、導く役割を演じた「黒衣の騎士」だ。

この人物だけが創作なのだけど、

映画では、実に存在感にあふれている。

彼は実在した「聖ヨハネ騎士団」の団員であり、正式の服装である、

黒地に白い十字のマント、胴衣を着用している。

「聖ヨハネ騎士団」とは、いわゆる「修道騎士団」で、

団員は聖職者(修道士、司祭)と騎士を兼ねるという、

教皇から認められた「修道会」なのだ。

主な任務は「聖地エルサレム」の守護と巡礼者の保護だが、

病者や戦傷者の治療、瀕死者への告解、塗油も行っていた。

聖地への巡礼路上に設けられた彼らの修道院は、

施療院(オスピス)でもあるから、

彼らは「オスピタル騎士団」とも呼ばれる。

劇中での役名も「ザ・(ホ)オスピターラー」だ。

負傷し重態に陥る「バリアン」の父「ゴッドフリー」の治療にあったり、

臨終に立ち会うところを再現したのは、正確な考証に基づいている。

日本の中世世界でも、聖職者(僧侶)がプロの戦士を兼ねるのは、

「僧兵」をはじめ、よくあったこと。

また、僧侶が医術や科学の専門知識に長けていたことも同じで、

比較中世史の視点からも、この映画は興味が尽きないわけだ。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PR400)

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2009年1月 8日 (木)

「ギリシャの火」

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この年末年始、再びパレスチナで戦闘が始まっている。

DVDで借りてきた「キングダム・オブ・ヘヴン」を観るにつけても、

この地域をめぐる、諸民族の宗教的な感情を孕んだ、

葛藤の根深さを思い知らされる。

優に千年になるけど、十字軍がもたらした惨劇の記憶は、

決して薄らいではいないのだ。

映画のエルサレム攻防戦の描写が凄まじい。

攻めかかるイスラム軍が投石機で発射する弾丸は、

城壁で発火爆発し、破壊の限りを尽くす。

かつて、ビザンティン帝国が開発した秘密兵器、

「ギリシャの火」が大々的に使用された様子を、

考証して映像化したのは、この映画が初めてだと思う。

(写真 GX200)

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2009年1月 6日 (火)

「家族」とは何だ

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朝刊を開いたら、

某野党の全面広告に「国民は家族です」云々。

このフレーズにまとわり付く、

ことさらに古色を帯びたイメージが嫌だ。

彼らの言う「家族」とは何なのか解からない。

これでは、上からの目線で人々を、

「家族」という言葉でひとくくりにしているように聞こえてしまう。

人は、それぞれに尊厳を持った存在じゃないか。

今、必要なのは「上下」ではなくて、「横」の連帯だろう。

本当に、困っている人々の気持ちに立っているのか疑わしくなる。

(写真 GX200)

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2009年1月 1日 (木)

「牛歩」なれど…

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本ブログを開始して15ヶ月、二度目の新年を迎える。

あらためて、本年もよろしくお願いいたします。

「丑年」に因んだ画像ということで、

この前、東博で撮影した「一遍聖絵」から、

街道を行く旅人と牛。

荷車を引く牛。

中世の人々にとって、「牛馬」は貴重な働き手だったから、

とても大切に扱ったであろうことは、

こういった絵画史料でも十分に伝わってくる。

「牛歩」の歩みとは言うけれど、

少し時間はかかっても、

しっかりとした、確実な歩みが出来るなら,

それに越したことはないと思うのだが。

(写真 GX200)

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