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2009年1月10日 (土)

黒衣の騎士

B09010901

「キングダム・オブ・ヘヴン」の主な登場人物の殆んどが、

実在、あるいはそれをもとに造型した人物像である。

その中で、唯一例外なのは、

主人公の若き騎士「バリアン」の傍にいて、

彼に助言し、導く役割を演じた「黒衣の騎士」だ。

この人物だけが創作なのだけど、

映画では、実に存在感にあふれている。

彼は実在した「聖ヨハネ騎士団」の団員であり、正式の服装である、

黒地に白い十字のマント、胴衣を着用している。

「聖ヨハネ騎士団」とは、いわゆる「修道騎士団」で、

団員は聖職者(修道士、司祭)と騎士を兼ねるという、

教皇から認められた「修道会」なのだ。

主な任務は「聖地エルサレム」の守護と巡礼者の保護だが、

病者や戦傷者の治療、瀕死者への告解、塗油も行っていた。

聖地への巡礼路上に設けられた彼らの修道院は、

施療院(オスピス)でもあるから、

彼らは「オスピタル騎士団」とも呼ばれる。

劇中での役名も「ザ・(ホ)オスピターラー」だ。

負傷し重態に陥る「バリアン」の父「ゴッドフリー」の治療にあったり、

臨終に立ち会うところを再現したのは、正確な考証に基づいている。

日本の中世世界でも、聖職者(僧侶)がプロの戦士を兼ねるのは、

「僧兵」をはじめ、よくあったこと。

また、僧侶が医術や科学の専門知識に長けていたことも同じで、

比較中世史の視点からも、この映画は興味が尽きないわけだ。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 PR400)

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