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2009年2月 9日 (月)

異形の神像(1)

B09020702

「国宝 三井寺展」(サントリー美術館 3/15まで)

三井寺(園城寺)の秘仏の数々や絵画、古文書など、

かなり充実した展示内容だ。

中世の信仰世界の一端を知るに絶好の機会だけど、

特に強い興味を持ったのは仏像ではなくて、

「新羅明神坐像」(国宝 平安11C)だった。

下がった目じり、長いあご髭、高い鼻の異様な容貌、

中国風の装い、もとより日本古来の神ではなく、

その名の如く朝鮮半島渡来の神であるという。

三井寺を中興した智証大師・円珍が唐からの留学の帰途、

船上に「老翁」の姿で示現し、守護を誓った神と伝える。

三井寺では爾来、この神を鎮守として祀り、秘仏とする。

(通常は地主神を鎮守とする例が殆んどだが、三井寺では、

 別に地主神がいる。「三尾明神」といい、今回も神像を展示中)

実に異形の神像である。

しかも、本地仏を文殊菩薩とし、神仏習合説にも則っている。

中世の信仰世界は複雑で奥深い。

三井寺が朝鮮半島と深い交流を持っていたのは確かで、

(円珍の留学も物心両面の多大な援助を受けたらしい)

中世を通じての、人々の頻繁な往来が想像出来るだろう。

話は変わるが、祇園祭の「牛頭天王」も、同じく渡来の神とされる。

疫神であり、中世世界で怖れられた疫病といえば、

「もがさ」(疱瘡)だ。

これも新羅の国からやってきたという。

話は北東アジア全域へ広がっていく。

この神像だけでも、一見の価値はあると思うのだ。

(写真 GX200)

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