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2009年3月25日 (水)

「神聖なる宣誓」

B09032403

「ワルキューレ」のことをもう少し続ける。

映画は冒頭にドイツ国防軍軍人の「神聖なる宣誓」が、

読み上げられるところから始まる。

この宣誓の重要性は殆んどの日本の観客には判らないと思う。

だが、この事件ではある意味、キイワードとなるものだ。

1934年にヒトラーよって改定された宣誓文には、

「…ドイツ国とドイツ国民の総統であり、

 国防軍最高司令官であるアドルフ・ヒトラーに、

 無条件の忠誠を神に誓う…」とあり、

全ての軍人が左手で軍旗に触れ右手を差し上げて、

宣誓を行った。

これが非常に重く、将校たちの行動を制約したため、

積極的にヒトラー暗殺計画に加わる者が増えなかったのだ。

プロイセン王国の伝統を引き継ぐ、国防軍の将校団は、

保守的な貴族の職業軍人を中核とする、

誇り高いエリート集団である。

(フォン・シュタウフェンベルク大佐はその理想像)

敢えてこの宣誓を破って暗殺計画に身を投じることは、

不名誉極まる「反逆者」と「神に対する背徳者」の、

汚名を着せられることに他ならない。

しかし、これはあくまでも彼らの、

(加藤周一氏も別のところで述べていたように)

もっと上にある、より人道的な民主主義精神によるところの、

個人の自由意志によるデジスタンスの表明なのである。

残念ながら、それは現代日本人とって、

一番弱い感覚と言わざるを得ないだろう。

(写真 GX200)

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