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2009年11月 9日 (月)

幸福な時代

B09110802

今週12日より、東博、この秋の特別展第二期で公開される、

「春日権現験記絵」を日曜美術館で特集していた。

放送で初めて紹介する部分もあって、引き込まれる。

この絵巻、やはり大変な作品である。

まず、作者名の判明している唯一の絵巻であること。

(鎌倉期、当代一流の宮廷絵師、高階隆兼)

全20巻揃いで保存状態が良く、

最高の画材を使っているため、色彩が驚くほど鮮やかなこと。

そして、中世の人々の生活が実に正確に、

一切の手抜きもなく、生き生きと描写されていること。

見入っているうちに、

実際の中世世界に入り込んでいく錯覚を覚えるくらいだ。

しかも、番組での姜尚中氏のコメントが利いていた。

「暗黒といわれた中世世界のイメージが根底から覆された。

 神仏が身近だったこの時代、戦乱、飢饉、疫病と、

 人々の生死も身近であったはず。それなのに、

 この絵巻を見ると、現代よりはるかに、

 幸福な時代にみえるのは何故なのか」

そう、筆者が中世世界に魅かれる一因もその辺りにあるんです。

この絵巻、絶対に見逃すわけにいかない。

(写真 CX1)

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コメント

東博の秋の展示会を、
同じく楽しみにしている
中世史に興味のあるものです。
はじめまして。


逆に戦乱、飢饉、疫病と、人々の生死も
身近であったからこそ、
絵画の上に於いては、幸福に
描こうとしたのかも知れません。
絵画は一時的にしろ
雇い主の願望を叶える装置にも
成りえると思うので…
しかし、同じく私も
この絵巻から、中世に惹かれる者の
一人ですが…><

投稿: 八束文言(Yatuka-Humitoki) | 2009年11月 9日 (月) 00時48分

拙ブログをご覧下さりありがとうござます。絵画や写真などのビジュアルな史料には、製作者の意図を超えた何かが表現されてしまうことが多いのだと思います。それを感じ取り、読み解くのが現代を生きる私たち役割だと…
貴ブログ、興味深く拝見いたしました。
気がついたら、ジョンHアーノルドの「歴史」を注文しておりました。

投稿: kansuke | 2009年11月 9日 (月) 11時14分

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