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2009年12月12日 (土)

「趣味」なんてごめんだ

B09121101

「…レベルの高いアマチュア、

 つまり他に仕事を持つ人をもっと社会的に評価してよい…」

オランダの経済学者で、写真や映像も手がける、

現代美術家でもあるハンス・アビング氏は、

公的な支援をあてにする安易なアーティスト志望者が増えている、

世界の美術界の現状を憂いながら、そう提言している。

この度、再出発を期して始動中の東京8x10組合連合会も、

こういったスタンスに立てたらと願う。

決して、自らの表現活動を、

「趣味の世界」に落とし込んでもらいたくない。

 (筆者が読まない作家ではあるが、

  村上龍氏の話題の近著「無趣味のすすめ」から、

  ここだけは頷けるものがありそうなので引用しておく。

 …趣味の世界には自分を脅かすものがない代わりに、

  人生を揺るがすような出会いも発見もない。

  心を震わせ、精神をエクスパンドするような、

  失望も歓喜も興奮もない。

  真の達成感や充足感は、

  多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、

  常に失意や絶望と隣合わせに存在している。

  つまり、それらは私たちの「仕事」の中にしかない…)    

日々の糧を得ている生業と同じように、

人生のいくつかの生業の一つとして、

写真表現活動を大事にしてゆきたいのだ。

この時勢、人生の貴重な時間を割いて、

作品を鑑賞しに来てくれる人が一人でもいるのなら、

その人の前で、失礼にも「私の写真はただの趣味で…」

なんて言えるわけがないではないか。

(写真 ライツ・ミノルタCL Mロッコール40㎜F2 CENTURIA400)

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写真の話題」カテゴリの記事

コメント

正論ですね。
ただ8x10組合はそういうスタンスではないと思いますよ。
私の脱会した主な理由はこの辺りです。
次のステップのためには基本的な技術の習得が必要です。
いくら理論武装しても技量がなければだめなのです。
さぁセンシトメトリーから始めましょう。

投稿: d4studio | 2009年12月12日 (土) 15時12分

私は性急に答えを求めません。
暫くは暖かく見守る道を選んだわけです。
それはそうと、ハンス・アビング氏はこうも提言しています。
「…他方、プロのアーティストは、創作だけでなく、作品をいかに広めるかにもっと関心を持つべきだ…」

投稿: kansuke | 2009年12月12日 (土) 23時16分

プロのアーティストとはどういういまですか?
商業アーティストということですか、それとも本当のアーティストということですか?
写真はアートではないので難しいところですね。
最近は特に・・・。
kansukeさんはメンバーなんですから皆さんを牽引してください!

投稿: d4studio | 2009年12月12日 (土) 23時54分

ハンスアービング氏の「金と芸術」は
昔、僕も読みました。
この視点は芸術と似たもので、
時々崇高さを歌われる学問(主に利益を生み出しにくい人文、社会系学問)と
金の関係にも似た所があると思いながら
読んだ覚えがあります。

投稿: 八束文言 | 2009年12月13日 (日) 01時13分

八束文言さま
考えてみれば、アビング氏自身も「他に仕事をもつ人」なのですよね。
歴史家も他に生業を持って、二つの視点の間を行き来する…そんな複眼的な志向も大いにあってよいと思うのです。
氏は先週、初来日されました。

投稿: kansuke | 2009年12月13日 (日) 10時28分

ウェブにも掲載されていました。
氏は経済学者なので、経済学の面から考えた視点で考察されていますね。
http://book.asahi.com/clip/TKY200912090247.html

投稿: satobo | 2009年12月13日 (日) 11時54分

今まで、アートの世界を経済の視点、お金の視点で正面から論じることにはちょっと躊躇いがありましたね。でも、これからはそうも言ってられません。出来すぎた話の裏には、実は公的補助の大盤振る舞いがあったりした。無い袖は振れませんから、他に仕事をもつレベルの高いアマチュアの活躍が期待されるというわけです。

投稿: kansuke | 2009年12月14日 (月) 01時11分

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