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2009年12月 5日 (土)

甘口のワインのように…

B09120401

スペシャル大河ドラマというわけで「坂の上の雲」が始まっている。

そこで、書棚の底を浚って、

昔読んだはずの文庫本を探すが見つからず。

そういえば、8巻のうち数巻を読んで止め、

古本屋に出したのを思い出した。

あたかも、口当たりのいい甘口のワインのように、

この小説はあまりに調子よく読めるから、

これはきりが無いと思ったからだ。

貧しかったけれども夢を目指し、活気に溢れたまっとうな時代。

そんな明治という、時代把握にも馴染めなかった。

この時代の実相と暗く悲惨な側面(大逆事件等々の)は、

どうなのだろうかと…

今時、金をかけた今回のTVドラマは出だしからありきたり。

BBCのような、要所に専門の研究者をコメンティターに起用する、

実証的なドキュメンタリー・ドラマに仕立てたほうがよかった。

唯一、期待するのは正岡子規の描き方と時代考証のみ。

(写真 CX1)

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歴史(現代史)」カテゴリの記事

コメント

「坂の上の雲」は、左翼的言説に満ち満ちた70年代初めの世相に逆行するようにして書かれた小説ですね。
秋山兄弟の一事をなすためだけに一生を使ったような単純化された生涯には大絶賛で、乃木希典の愚かさは全否定。
子規の随筆は、今のブログのようなところがあります。
カリエスで腹が穴だらけになって激痛の日々でも、何にでも好奇心を持ち、友人の訪問や、うまい食べ物、よい便通をよろこんでいます。

投稿: 振り子 | 2009年12月 5日 (土) 10時20分

常々、思っていたのですが、司馬氏はベテランの新聞記者出身らしく、とてもズルイところがあったのではと…つまり、自分の本音をいつもあれこれとはぐらかして、決して明かそうとしていませんから。だから、多くの作品で読者は勝手な解釈をして悦に入っているわけですね。この小説の場合、存命中は最期まで映像化を許可しなかったといいますから、その辺に本音を感じるのですが…井上ひさし氏も同様なことを語っていた気がします。秋山兄弟に着眼したのは面白いのですが、より子規のほうに魅かれるのは仕方ありませんよね。

投稿: kansuke | 2009年12月 6日 (日) 01時43分

司馬さんの時代小説の主人公の半分は、マイナーな人物ですね。しかも肩入れしすぎて、過剰評価になり、そのまま信用することはできないと思っています。坂本龍馬はそれほど偉い人物とは思われないし、河合継之助も実像とは言えないでしょう。心情には立ち入らず、エピソードを繋いで語る小説なので、全体としては破綻しがちです。にもかかわらず、所々に現れる作者の遠近感をそなえたものの見方にはちょっと魅力があります。昔は嫌いな作家だったのに、最初は古代史の対談がおもしろくなり、エッセイー、「街道を行く」と読むようになりました。小説は途中で投げ出すことも多いですが、長い小説も結構読んでしまいました。

投稿: 振り子 | 2009年12月 6日 (日) 10時45分

実を言えば、私も司馬氏の対論集はかなり読んでいるのです。相手が網野氏をはじめ、注目の人たちでしたから。さすがベテラン記者出身の本領で対論は面白いです。

投稿: kansuke | 2009年12月 7日 (月) 10時37分

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