「幽霊と語る」
加藤周一ドキュメンタリー映画
「しかし それだけではない。加藤周一 幽霊と語る」
を観る。週末とあって入りもまあまあだった。
一昨年末に死去した加藤周一氏の最晩年の日々を、
遺された最期のメッセージとともに、死者(幽霊)たちへの、
追慕と対話を通して描いたドキュメンタリーだ。
反戦を貫いた恩師たち、学徒出陣した友人、
そして、戦時中の明日をも知れぬ自らの運命に共通性を見出した、
鎌倉期の歌人源実朝と、時空を超えての問いかけは、
これも戦時に観たという世阿弥の夢幻能のかたち、
(シテの死者が死後の視点から、その生きた時間と想いを、
回想形式で語り演じる)に対比される。
氏は、幽霊たちはもう、決して姿や意見が変わることがなく、
その視点は「今=ここ」にあり続けるのだと説く。
昨年にNHKで放送された生前最期のインタヴューと、
現代の学生たちへ「老人との連帯」を勧める講演も含む。
(写真 CX2)
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