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2010年5月11日 (火)

天正2年の世界

B10051001

昨年9月に公開された「BALLAD 名のなき恋のうた」は、

戦国期の合戦シーンを今までになく、

リアルに再現したことで話題になった映画だ。

子供向けのアニメを原作にしながら、

大人の鑑賞にも耐えられる内容になっている。

首都圏近郊の、とある街に住む一家が、

天正2年の北関東?の小領主の山城に、

迷い込むストーリーなのだが、

住宅地の一角に忘れられたように残る、古木、道祖神、城跡が、

実は、中世世界へ繋がるタイムトンネルになっているという、

プロットは結構、抱いてしまいそうな妄想なのだ。

(実際、そんなスポットが存在する)

天正2年とは、その前年、信長が足利義昭を追放し、

翌年は長篠の戦いと、まだ中世末期といってよい世界である。

現代言語は、室町後期の言葉が基になっているから、

ひよっとしたら、交流も不可能でないかもしれぬ。

土と木の城=中世山城も、かなり正確に再現した。

(障子堀と呼ばれる、畝道で仕切った関東の地域性が強い、

 空堀まで造っているのは評価しよう)

話題の合戦シーンは騎馬が少なく(城攻めではあったが)

徒歩の足軽部隊が中心と、実態に近い。

武器も、長槍(突くのではなく、叩き合う使用法)

弓、飛礫、焙烙玉、鉄砲とよく再現している。

一方の問題点は、まず、武士の服装が、

江戸期の何処かの貧乏藩士のようなのが頂けない。

(その辺は同時代の洛中洛外図などを見ればわかるはず)

ストーリーが凡庸だったのは仕方がないとして、

(ヒロインの姫の、湖畔で手を合わせている姿が、

 全編を通じて、シンボリックなシーンになっているのに)

この時代の人々の、生きていくよりどころだった、

「信仰」を描き切れていなかったのが残念だといえる。

(写真 CX2)

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