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2010年8月30日 (月)

餓鬼草紙を観る(1)

B10082901

餓鬼草紙が中世絵巻の白眉なのは論を待たない。

必見の絵画史料でもある。

まず、凄惨な場面の連続に目を奪われるが、現代の観覧者が、

「空想上の地獄を描いた絵」と囁き合っているのを聞くと、

博物館側の解説も不足しているのではないかと気になる。

餓鬼は人には見えないが、必ず其処にいると信じられていたし、

描かれた場面は全て、

現実の中世世界で起こっていたことだからだ。

都市的な場の境界地には葬送地があり、

埋葬されるのはいいほうで、多くの死体、

あるいはまだ息のある病者が放置されていた。

もとより、公衆トイレは存在しないから、

人々の行き交う辻は糞尿で溢れていた。

つまり、異臭、悪臭に満ち満ちていたのが、

中世世界の実相なのだ。

(写真 CX3)

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