説経節「をぐり」を読む(15)
後藤左衛門、男は度胸、ここは駄目もとでも、
ひとつ脅かしてみんとて、連雀掴んで、白州に投げ、
広縁に踊り上がり、板踏み鳴らして、大見得を切った。
…おう!いかに照手姫様!何故、文をお破りになった!
文の一字一字は仏なり。お大師様の指を裂くも同然、
ああ恐ろしや!照手姫様の後生の罪業如何ばかり!…
照手姫、憤然としながらも、
…今まで、相模武蔵の殿原たちの文はいくらでも破りましたよ!
これほどの罪業と云うのなら、悲しいかな、神も御覧ぜよ!
何も知らずにしたことですから、お許し下さい。
でも、父横山殿、兄弟たちがこのことを聞けば、
私をどう罰するかも知れず。
もはや致し方なし、返事を書きましょうぞ!…
ついに、照手姫は返し文をしたためる。
かくして後藤左衛門、首尾よく返事の受け取りに成功!
…承ってござある…とつくと千駄櫃へ入れ、
常陸の小栗館へ、ひた走る。
(捨身 二代目CX5)
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