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2014年2月21日 (金)

七十一番職人歌合を観る(14)

B14022001

「辻子君」と対になっているのが、「立君」(たちきみ)である。

清水坂下、五条橋辺りで、夜な夜な路傍に立ち、

客を引いた女たちだ。

例によって、添えられた吹き出しの台詞を読む。

実は、この吹き出し、左右どちらから読むか、あるいは、

其々、どの人物の台詞と解するかで、説が分かれている。

それに拠っては、読み解き方も、全く違ってしまうのだ。

とりあえず、右から読んでみる。

…すは、御らんぜよ(右の女 松明で照らされて)

~さあ、御覧なさいよ!

…けしからずや(左の女)

~私の見目、悪くないでしょう?(綺麗でしょ?)

…よく見申さむ(右の男)

~じっくりと(お顔を)拝見いたそう。

…清水まで、いらせ給え(これを誰の台詞と採るか。男では)

~清水坂まで、ご一緒に参ろうか。

念のため、左から読むと(こっちのほうが、しっくりくるか)

~清水坂まで、いらっしゃりません?(右の女)

~じっくりと拝見いたそう(右の男 松明で照らしながら)

~さあ、御覧なさいよ!(右の女)

~(顔を見るなんて)ひどいわ(左の女)

因みに、立君は客に顔を隠す風習があったようだ。

近くの清水坂には、寝所が在ったのだろうか。

清水坂の非人が、彼女たちの元締め(本所)を務め、

上前をはねて、場所も用意していたと云う説がある。

とすれば、彼らは清水寺に属したから、立君も寺公認で、

(清水寺は、観音の利生で、ナンパの名所だったし…)

その支配下にあったことになる。

立君たちの装束、右の女は、小袖に衣かずき、

左手で裾を押さえ、右手人差指で、自分の顔を示す。

左の女も、小袖に衣かずき、市女笠を上げ、紐を緩める。

右の男、侍烏帽子に小袖袴、打ち刀、左手に松明、

右手人差指で、立君の顔を示す。

左の従者の男、束ね髪、直垂袴、打ち刀、主人の大太刀を持つ。

三尺(90㎝)を越える大太刀は、南北朝期から戦国期にかけて、

流行った武器だ。

腰に佩くより、背負うか、従者に持たせることが多い。

大太刀を扱えるのは、やはり、かなり手練の武士だろう。

(捨身 Canon S110)

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