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2014年2月22日 (土)

七十一番職人歌合を観る(15)

B14022101

前回、立君に声を掛けた武士が携える、大太刀のことに触れたが、

歌合には、もう一人、大太刀を持つ者が出てくる。

俗人でなくて、興福寺の坊主=「奈良法師」だ。

謂うまでも無く、興福寺は藤原・摂関家の氏寺で、

法相宗の大本山、氏神の春日大社も支配下に置く。

中世世界の南都・奈良では、興福寺は、諸国に広がる荘園と、

別当を頂点とする、武装した僧兵をはじめ、三千大衆と呼ばれる、

強大な組織を背景に、大和一国を知行していた。

鎌倉期以降は、守護職(軍事警察権)も押さえるに至る。

「奈良法師」とは、その僧兵に他ならない。

これを職人の範疇に入れてしまえば、「弓取」の如く、

プロの戦士と云うことになり、大太刀を持つに相応しいわけだ。

添えられた吹き出しの台詞は、何故か風流で、

…もろこしの月よりも、見所あればこそ、

 春日なる、三笠の山とは、よみつらめ…

~唐土の月よりも、見所があればこそ、

 (あの阿倍仲麻呂も)「春日なる三笠の山」と詠んだのだろう~

もとより僧形、法衣に白鞘の打ち刀と、

刃を上に向けて、実戦的な、黒漆鞘、長柄中巻の大太刀を差す。

衣の下には、腹巻(甲冑)も着込めているようだ。

(捨身 Canon S110)

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