« 七十一番職人歌合を観る(18) | トップページ | 七十一番職人歌合を観る(20) »

2014年2月26日 (水)

七十一番職人歌合を観る(19)

B14022501

この前の「軍師官兵衛」で、一寸、注目したシーンがあった。

秀吉が、食い詰めていた若い頃、針を売って歩いていたが、

ちっとも売れなかったと、官兵衛に述懐するところだ。

秀吉針売り説は、江戸初期に成った「太閤素生記」に拠り、

中世史家の石井進、服部英雄両氏によって提起されてきた。

つまり、秀吉農民出自説に、一石を投じるもので、

道々の輩、芸能民、あるいは乞食非人まで視野に入れた、

秀吉、非農業民出自説の可能性を示唆するわけだ。

もとより、筆者としては、この可能性を強く支持するのだけれど、

その辺は兎も角として、今回は、針を作り、売っていた人々、

「針磨」(はりすり)を、採り上げる。

針売りと乞食非人との関わりは、文書には殆ど出てこないが、

巷間、昔から云い習わされていたようだ。

しかも、針は、古代より、呪力、霊力を持つ道具でもあった。

図中の男は、束髪、小袖袴、作業台の上に小針を並べ、

「舞錐」(まいぎり=縦棒に巻きつけた紐を、腕木で上下させて、  

 回転させ、穴を穿つ道具)を右手で操作し、針穴を開ける。

手前には、針を入れた箱を置く。

添えられた吹き出しの台詞は、

…こばりは、針孔(みず)が大事に候…

~小針は(小さいので)針孔開けが肝要でございます~

|

« 七十一番職人歌合を観る(18) | トップページ | 七十一番職人歌合を観る(20) »

歴史(中世史)」カテゴリの記事

コメント

絵画資料の件、ありがとうございました。先日読んだ五味文彦さんの『中世のことばと絵』で、絵師と吉田兼好との関係から、『徒然草』に各種職人が登場することを指摘されていました。「ぼろ」でお書きになっていたことですよね。改めて徒然草を拾い読みしてみました。『伴大納言絵詞』以降描かれるようになった京都の庶民、職人の姿が、いっそう生き生き動き出した気がしました。

投稿: 糸でんわ | 2014年2月27日 (木) 07時12分

五味文彦氏の論考はお勧め出来ますよ。
伴大納言絵詞は、もとより、中世絵巻物の最高峰ですが、六年前か、出光美術館の特別公開で実物を観たことがあります。実に貴重な機会でしたが、その時、傷みが相当進んでいたので、今後の公開が危ぶまれますね。デジタルアーカイブ化するとのことでしたから、それに期待するしかないかもしれません。

投稿: kansuke | 2014年2月27日 (木) 21時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 七十一番職人歌合を観る(18) | トップページ | 七十一番職人歌合を観る(20) »