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2014年3月 9日 (日)

七十一番職人歌合を観る(26)

B14030801

この歌合の冒頭は、番匠、鍛冶の順で始まるのだけれど、

三番目にくるのが、「壁塗」(かべぬり)である。

つまり、建築関係の職人から、優先的に挙げられているわけで、

その辺りから、歌合の成立の背景も窺われて、

興味深い(京極氏や相国寺の関わりも)

また、選から洩れている重要な職人、例えば「鋳物師」(いもじ)

とかにも、裏事情がありそうで、関心が向く。

図像は、侍烏帽子、直垂袴に腰刀。

右手に元首鏝(もとくびごて)左手に壁土を載せる鏝板を持ち、

傍らに、壁土を入れた曲物の桶を置く。

添えられた吹き出しの台詞は、一寸下世話っぽくて、

…やれやれ、うば(=姥)らよ。

 家にて鏝、猶とりてこ。

 壁の大工まいりて候。  

 下地とくして候はばや…

~おいおい、古女房どのよ(老妻への呼びかけ)

 やっぱり、家にある鏝を持ってきておくれ。

 大工(壁塗の長)が参りました。

 下地を早々に仕上げてしまいましょう~

ついでながら、「壁塗」を「左官」と呼ぶ由縁は、

番匠や鍛冶と同じように、朝廷の木工寮に属した頃に、

四等官の最下位である「主典」(さかん)を称したからとか、

左右に分かれていた職人組織の「左方」に属したからとか、

諸説あって、よく解っていないようだ。

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歴史(中世史)」カテゴリの記事

コメント

職人さんの道具が、どれも見慣れたものなのが面白いです。また、添えられたセリフ(名訳^^)が飄々として、描かれていない部分の物語も浮かんできそうですね。

投稿: 糸でんわ | 2014年3月 8日 (土) 22時12分

この歌合が成立したのが、室町末期(戦国期)なのですが、丁度その時代に、今の列島社会の基礎が出来たのです。ですから、登場してくるものに、大きな違和感はないと想います。でも、人々の価値観、世界観は、中世世界そのものですから、現代社会と比べれば、端的に謂って「外国」に近いと考えたほうがいいでしょうね。

投稿: kansuke | 2014年3月 9日 (日) 10時43分

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