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2014年7月 4日 (金)

元八王子の宿跡を彷徨う(10)

B14070301

筆者は、中世世界の宿と市庭、そして「河原」は、

そもそも、セットで捉えねばならぬと、睨んでいる。

三者の密接不可分とも云える関係を知るには、

やはり「商人の巻物」に拠る。

「新宿」(市庭)を立てる際に、行われる一連の儀礼である。

連雀衆の頭目は、まず、当該地域の領主たる、地頭のもとへ、

本邦開闢以来、最初の市庭の商品と云われる「櫛」と「針」

さらに商人の象徴=「秤」を添えて持って往く。

地頭からは、市神の住吉明神の前に、

兜、太刀、刀が奉納される。

さらに、北の方(地頭の奥方か?頭目の女房か?)が、

白木の弓七張、布十二反、代(銭)十貫を奉納する。

蓮雀衆の頭目は、御幣を捧げ、地面を一文字に、

反ばい(へんばい)を踏み、市神へ祝詞をあげる。

周囲には幔幕を張り、山伏が大般若経を読む…

様々な儀礼が滞りなく済むと、最後にクライマックスがやって来る。

馬二疋の鞍に壷を掛け、100~200本の針を入れて、

馬上から、四方へばら撒くのである。

透かさず「河原者」が登場して、この針を拾い取る。

それを合図として、「新宿」での取引が始まったのだ。

「河原者」と「針」の繋がりは既にふれたが、

此処でも、キーワードとなったわけだ。

B14070302

(捨身 Canon G1X)

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歴史(中世史)」カテゴリの記事

コメント

そういえば、一寸法師は、摂の国の老夫婦が住吉明神に願をかけ、授かった子供であり、針というキーワード、河も出てきますね。武士への転身という結末ですが、中世の物語なので象徴するもののベースは同じなのでしょうか。

投稿: tae | 2014年7月 3日 (木) 23時02分

taeさま
そうです。御伽草子はまさに同時代の物語ですよ。よくリマインドさせて頂きました。住吉明神、針、鬼、河… 私は「ものぐさ太郎」のほうに気をとられていたのです。一寸、調べてみようかな…

投稿: kansuke | 2014年7月 4日 (金) 22時17分

「ものぐさ太郎」は安曇野、穂高神社と関係があるのですね。いったい何者のなんでしょうか。どこにも属していないようにも見えますが。反ばいはその土地の地霊との交渉ですよね。蓮雀集はそういうこともしていたんですね。

投稿: tae | 2014年7月 5日 (土) 09時32分

ものぐさ太郎が「公認!」と称して、天下の路上で「娶り」(めとり=女捕り)を強行するわけです。中世世界の所謂「人取り」の一種とも想えて、興味をもちましたね。まぁ、今では、殆ど拉致ですが…
先祖を熊野修験と伝える蓮雀衆も多いのです。根は遍歴の宗教者と謂っていいです。

投稿: kansuke | 2014年7月 5日 (土) 22時21分

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