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2014年7月 5日 (土)

元八王子の宿跡を彷徨う(11)

B14070401

つい、筆を滑らせ「宿」と「市庭」を混同して、書いてしまっているが、

もともと、中世世界の両者は、ほぼ重なっており、

併設されるのが常だからだ。∴≒って感じか。

しかも、其処に「河原」が加わってくる。

三者が、いかに構造的に繋がっていたか、こんな文書がある。

駿河の今川義元は、天文十三年(1544)領内の市庭を往来する、

連雀商人に対し、「河原者」が生産した、薫皮(ふすべがわ=

 鹿皮をなめし、燻して防水性と強度を高めたもの。

 武具・甲冑・馬具の重要な材料)各種毛皮、滑皮(なめしがわ)

を他国へ持ち出し、商ってはならないと命じた。

…蓮雀衆が皮革類を他国へ商っていると云う風聞がある。

 彼らの荷物を、随時改め、立ち廻り先も捜索し、

 皮製品を商っていないか尋問せよ。

 もし、禁制を破って、所持している者が見つかったならば、

 身柄と荷物を差し押さえ、当家の奉行へ報告せよ。

 また、京の貴族や寺社に仕える商人(神人、供御人)だから、

 免税だと称して、当国の市庭で商う者に課している「役銭」を、

 納めない者がいたら、厳しく取り立てよ。

 但し、この件を口実にして、蓮雀商人が扱っているところの、

 小間物、薬品、反物等、商品を差し押さえるなど、

 彼らの通常の商売を妨害してはならない…

「皮止め」(かわどめ)と呼ぶ、軍需物資を対象とした、

一種の経済制裁だ。おそらく、当時、関係が悪化していた、

甲斐・武田氏を苦しめるためであろう。

有名な塩の禁輸=「塩止め」(しおどめ)と同様の措置である。

特に興味深いのは、宿と市庭に集う連雀衆が、

行商の他に、河原者から仕入れた皮革を商っていたことだ。

「宿―市庭―河原」を結ぶ、キーパースンが連雀商人であり、

河原者たちとの密接な付き合いと、今の総合商社のような、

役割を果たしていたのも窺え、面白い。

連雀商人たちは、顧客から頼まれれば、

どんなものでも(女性でも!)調達したと云うのは、

やはり、確かなようだ。

B14070402

(捨身 Canon G1X)

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