« 説経節「をぐり」を読む(19) | トップページ | 説経節「をぐり」を読む(21) »

2015年7月25日 (土)

説経節「をぐり」を読む(20)

B15072401

「かようなる大剛の馬には、鞍鐙は要らぬ」と小栗、
枷の鎖を手綱代りにかしんと噛ませ、
「えいっやっ」と鬼鹿毛に飛び乗る。
何やら、呪文を唱えると、鞭をばぱしんと打ち、
八町の萱原をまっしぐらに駆け出した。
十人の殿原、あまりの嬉しさに「やや」と誉めそやす。
一方の横山八十三騎の人々、今こそ小栗の最後を観んと、
待ち構えて居たのに、言葉も出ない有様である。
B15072402
「何なりとご所望の芸を」
小栗と鬼鹿毛、まさしく人馬一体となって、
屋根を駆け、松の木へ登り、
はたまた、裏返した碁盤の脚の上を渡るなど、
凡そ馬術の秘伝書の奥義を次々と披露する。
「おう横山殿、この馬、朝な夕なに調練して進ぜようか」
父横山殿はじめ、八十三騎の人々、溜息混じりながらも、
どっと笑い合うしかない。
しかし、事の想わぬ成行きに、横山殿父子は、
「何条、如何にしても、あの小栗めを打ち果さん」とて、
さらに謀りごとを廻らすのだった。
(捨身 Canon S110)

|

« 説経節「をぐり」を読む(19) | トップページ | 説経節「をぐり」を読む(21) »

歴史(中世史)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 説経節「をぐり」を読む(19) | トップページ | 説経節「をぐり」を読む(21) »