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2015年7月26日 (日)

説経節「をぐり」を読む(21)

B15072501

横山殿父子と八十三騎の人々、再び集まって僉議するに、
「昨日の御慰労と称して、一席設け、
 予ていろいろの毒を仕込んで、
 七付子(しちぶす)の毒酒を盛るのが宜しかろう。
 如何に大剛の小栗と雖も、ひとたまりもござらぬ。のう父上」
またも、姦計を弄したのは、三男三郎である。
「よくぞ申した三郎」と父横山殿、
早速、小栗の居るいぬゐの局へ使いを立てる。
さすがに小栗、今度は渋るのは云うまでもない。
だが、執拗に使者が立つのこと六度に及び、
七度目は、三男三郎自らが使者に立つ。
「三郎殿の御使いとは祝着なり。是は参らねばなるまいて」
小栗の御運が尽きたとはこのことであろうか。
人は運命尽きると、智慧の鏡もかき曇り、
才覚の花も散り失せると云うが、実に哀れなことであった。
どうしても納得出来ぬ照手姫、小栗を引きとめて、
彼女が観た、不思議な夢を語り始める。
「まずは、重代家宝の鏡が鷲に破られ、
 御所用の鎧土通し(短刀)が鍔元から折れました。
 次いで、重藤の弓も、鷲が三つに折り、
 破片が上野が原に落ちて、卒塔婆へ変じました。
 とりわけ、最後の夢は不吉でございました。
 小栗殿と十人の殿原が、真白き浄衣(喪服)姿にて、
 逆さ鞍、逆さ鐙の馬に乗り、千人供養の僧たちを従え、
 幡、天蓋靡かせながら、北へ北へと去って往くのを、
 見送ったのですよ」
しかし小栗は、遂に得心ならず、ただ夢違えの呪文とて、
一首詠じ給い、横山父子のもとへ向かうのだった。
B15072502
(捨身 Canon S110) 

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