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2015年8月 3日 (月)

説経節「をぐり」を読む(29)

B15080201

六浦津の商人に買い取らてしまった照手姫、
商人は手元に止めては置かなかった。
また売り飛ばしたのだ。
こうして、姫の流転が始まる。
「釣竿の島」(不詳)「鬼のしほや」(新潟県岩船郡神林村塩谷か?)
値が上ればさらに転売を重ね、いつのまにか日本海側へ。
「岩瀬」「水橋」「六動寺」「ひひ=氷見か」(いずれも富山湾沿岸)
B15080202
もとより、多くは海路を辿る。
「宮の腰」(金沢市金石)「本折」「小松」(いずれも石川県小松市)
「三国湊」「敦賀津」(いずれも福井県)「海津の浦」(滋賀県高島郡)
B15080203
「大津」に至った。
これからは、陸路か。
牛の背に揺られ、姫は「宿」を通り過ぎる。
これほどの移動は、現代では意外と想われるかもしれないが、
中世世界では、むしろ普通であったろう。
人買い商人の活動は各地を網羅し、
市場は連携していたと観るべきだ。
B15080204
姫の「値」も、さらに上がって往く。
十三貫文(百三十~九十万円)と云う値で、
(上掲=商人が、ずっしりとしたさし銭の束を手にしている)
遊女屋の主人「よろず屋の君の長殿」が買い取った。
(捨身 Canon S110)

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コメント

大伴家持は「比美之江」と歌ってますね。ちなみに岩瀬は近世まで、北前船の廻船問屋がたくさんあり、そのうちの馬場家は全国屈指の財力を持っていて、そのお金で富山大学の前身の高校に小泉八雲の蔵書を遺族から買い取ることができたのです。「をぐり」はここのところの、地名の展開がおもしろいですね。

投稿: tae | 2015年8月 2日 (日) 23時02分

「をぐり」が語られた室町後期、戦国期の世界では、聴衆にとって、海路に関る馴染みの地名、或いは音に聞こえた都市的な場だったと想います。今では特定出来ないような地名もありますが、恐らく実在したのでしょう。意味付け=寓意性もあったはずで、読み解ければ面白いでしょうね。

投稿: kansuke | 2015年8月 3日 (月) 23時35分

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