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2015年8月 6日 (木)

説経節「をぐり」を読む(32)

B15080405

閻魔大王が「にんは杖」で虚空をはったと打った刹那、
「上野が原」(不詳 横浜市西部か?)では、
小栗塚の土饅頭が割れ退き、
卒塔婆もかっぱと倒れて、烏が鳴き騒ぐ。
そこに、ちょうど通りかかった藤沢・遊行寺のお上人、
髪は茫々、手足は糸の如く、
腹は鞠のように膨れて、這い廻る、
餓鬼の姿に成り果てた小栗殿を見つける。
お上人、小栗の胸に下げられた札を御覧じて、
「この者を藤沢・遊行寺のお上人、めいとう聖の弟子として、
 お渡し申す。熊野本宮湯の峰へお入れくだされば、
 浄土からも、薬湯を沸き上げよう。閻魔大王より 御判」
「これは、もったいなきこと」 早速、小栗の髪を剃り、
「餓鬼阿弥陀仏=餓鬼阿弥」と名付け、出家させた。
B15080501
さらに、その胸札に、
「この者を一回引けば、千僧供養。
(千人の僧を招いて、供養するほどの功徳がある) 
 二回引けば、万僧供養」
と書き添え、土車を造らせて、餓鬼阿弥を乗せる。
B15080502
お上人は、まず自ら車の綱にすがりつき、
「えいさらえい」とお引きなった。
遙か熊野本宮湯の峰へ、道往きの始まりである。
(捨身 Canon S110)

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