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2015年8月14日 (金)

説経節「をぐり」を読む(37)

B15080902

物狂いの巫女姿に扮した照手姫。
彼女の音頭取りで、小栗(餓鬼阿弥)の乗った土車は進み、
美濃国を抜け、近江へ入った。
「三国一の瀬田の唐橋」を「えいさらえい」と引き渡る。
石山寺、大津、関寺に至り、京の都は目前となったが、
はや、君の長殿との約定、最後の日でもある。
姫は夜もすがら、餓鬼阿弥の傍らで過ごし、
東の空が白む頃、胸板にこう書き加えた。
「海道七国で、車を引きたる者多かれど、
 美濃国、青墓の宿、よろず屋の君の長殿が下水仕(下女)
 常陸の小萩と云う姫、青墓の宿より、大津、関寺まで、
 車を引き参らする。
 熊野本宮湯の峰にお入りあって、病ご本復なれば、
 必ずお戻りには、一夜の宿を参らすべし。
 返す返すも、お名残り惜しゅう」
B15080903
「何の因縁でしょうか。あの小栗殿との別れも、
 この餓鬼阿弥との別れと同じように想われます。
 我が身が二つあるのなら、一つは君の長殿へ戻し、
 いま一つは、車を引き続けるものを」
幾度も餓鬼阿弥を振り返りつつ、切ない別れを告げる。
B15081101
(捨身 Canon S110) 

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