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2015年11月の記事

2015年11月30日 (月)

説経節「をぐり」を読む(39)

B15081301
目的地の熊野に至る直前「こんか坂」下にて、
引手無く、打ち捨てられてしまう。
ところが此処に、吉野大峰を目指す、
百人の山伏集団が通り掛かるのである。
彼らは、餓鬼阿弥を観て、
「いざ、この者を熊野本宮湯の峰へ入れてみよう」と語らい、
網籠を組み、若い先達に「むんず」と背負わせる。
四百四十四日目にして、
漸く熊野本宮湯の峰に辿り着くことが出来たわけだ。
B15081302
さっそく、餓鬼阿弥を湯治させる山伏たち。
さて、唐突な山伏集団の登場は、何を意味するのだろうか。
おそらく、熊野修験なのであろう。
中世世界の熊野修験、つまり熊野御師たちは、
諸国を隈なく歩き回り、各地に熊野社を勧請した。
彼らは、熊野権現の眷属、或いは化現とも看做され、
身を持って、功徳を現す存在だったのかもしれぬ。
説経節「をぐり」の成立には、まず、藤沢遊行寺の時宗との関りが、
想定されるが、もとより、時宗開祖一遍は、
有名な「熊野の神託」で、信仰の確信を得ている。
熊野と時宗の、切っても切れぬ繋がりは、
この物語の背骨を成すと謂っていいのだ。

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