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2015年12月13日 (日)

説経節「をぐり」を読む(42)

B15120701

熊野巡礼者に身を窶した小栗は、
京の都、父二条大納言兼家の御所に辿り着いた。
喜捨を乞う風情で、邸内に入り込んだが、
門番に咎められ、追い出されそうになる。
だが、ちょうど居合わせた叔父の御坊が、
この不審な巡礼者を気に留め、
傍らの小栗の母、御台所へ告げる。
「我ら一門にばかり、額に米の字が現れると云う、
奇相ありと申すが、あの修行者にもそれが観える。
今日は奇しくも小栗が命日。急ぎ呼び戻し、
喜捨を施そうではないか」
今こそ名乗るべきと、広縁へ駆け上る小栗。
「母上様、昔のままの小栗でございます。
 三年の勘当、お許し下さいませ」
B15120702
さて父兼家は、御台所からことの次第を聞き及び、
「我が子小栗は、相模の横山舘にて、酒に仕込まれた毒で、
 殺されたはず。この修行者が小栗と名乗るならば、
 幼き頃より教えたる証しがある。されば、受けて御覧ぜよ」
強弓を取り上げ、よっ引きひょうと、矢を放つ。
B15120703
すかざす小栗、一の矢、二の矢を左右の手で掴み、
三の矢を、はっしと前歯で受け止めた。
「さあ父上様、かように昔のままの小栗でござりますぞ!
 三年の勘当、お許しを!」

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